教育勅語（資料）

敎育ニ關スル勅語（教育勅語）

朕惟フニ我カ皇祖皇宗國ヲ肇ムルコト宏遠ニ徳ヲ樹ツルコト深厚ナリ我カ臣民克ク忠ニ克ク孝ニ億兆心ヲ一ニシテ世々厥ノ美ヲ濟セルハ此レ我カ國體ノ精華ニシテ敎育ノ淵源亦實ニ此ニ存ス爾臣民父母ニ孝ニ兄弟ニ友ニ夫婦相和シ朋友相信シ恭儉己レヲ持シ博愛衆ニ及ホシ學ヲ修メ業ヲ習ヒ以テ智能ヲ啓發シ徳器ヲ成就シ進テ公益ヲ廣メ世務ヲ開キ常ニ國憲ヲ重ジ國法ニ遵ヒ一旦緩急アレハ義勇公ニ奉シ以テ天壌無窮ノ皇運ヲ扶翼スヘシ是ノ如キハ獨リ朕カ忠良ノ臣民タルノミナラス又以テ爾祖先ノ遺風ヲ顯彰スルニ足ラン

斯ノ道ハ實ニ我カ皇祖皇宗ノ遺訓ニシテ子孫臣民ノ倶ニ遵守スヘキ所之ヲ古今ニ通シテ謬ラス之ヲ中外ニ施シテ悖ラス朕爾臣民ト倶ニ拳々服膺シテ咸其徳ヲ一ニセンコトヲ庶幾フ

明治二十三年十月三十日

御名御璽

●明治政府がどのような考えを持って国民を指導しようとしていたか考えよう。
●教育勅語が発布されたのは「明治二十三年十月三十日」、つまり1890年、帝国議会の開会を目前にしていた時である。「忠と孝」を中心に据え、親に対する「孝」が天皇に対する「忠」に連結し「愛国」に重なっていることに注目しよう。
●1948年（昭和23年）6月19日に、衆議院の「教育勅語等排除に関する決議」と参議院の「教育勅語等の失効確認に関する決議」によって教育勅語は排除・失効が確認された。

教育勅語の現代語訳

私（明治天皇）が思うには、皇祖天照大神と歴代の天皇が国を始められたのははるか昔のことであり、代々の天皇の御徳は深く厚いものである。わが臣民もよく忠孝に努め、全ての国民が心を一つにして、これまでの忠孝の美徳を発揮してきたのは、日本の国柄のもっともすぐれたところであり、教育の根源も実にこの点にある。お前たち臣民は父母に孝を尽くし、兄弟は仲良くし、夫婦は強調し、友達は信じ合い、人にはうやうやしく、自分には慎み深く、誰彼となくひろく人々を愛し、学問を修め、仕事を習い、知能をのばし、徳行・器量をみがき、進んで公共の利益をひろめ、世の中の務めにはげみ、常に憲法を重んじ、法律に従い、一旦国家危急の時には忠義と勇気をもって国家のために働き、天地とともにきわまりない皇室の運命を助けるようにしなければならない。このようにすれば、忠義の心厚く善良な私の臣民だけでなく、お前たちの祖先の残した美風を明らかにすることにもなる。この道徳は、実に私の皇祖天照大神と歴代の天皇が残された教えであり、その子孫・臣民はともによく守るべきもので、昔から今までを通して誤りのないことであり、これを世界に実施しても道理に逆らうことがない。私はお前達臣民とともに、よく心にとどめておき、皆がこの美徳を第一にするよう心掛けてほしいと切に希望している｡

明治二十三年十月三十日

御名（天皇の名・睦仁）御璽（天皇の印）